まとまった時間を確保しやすい学生時代に、旅行や留学といった形で海外経験を沢山したいと考えている方は少なくないと思いますが、その際に必要な現地通貨(外貨)の調達手段のひとつ『海外キャッシング』について、その基礎知識とともにおすすめのクレジットカードを紹介したいと思います。
なお、海外キャッシングという響きに否定的なイメージを連想される方も少なくないと思いますが、海外キャッシングには、両替など他の現地通貨調達手段よりも魅力的と思える部分もありますので、先入観を捨て、海外キャッシングというものを理解した上で利用するしないをお決めになればよいと思います。
もっとも、外貨調達法は様々あり、海外キャッシングが万能というわけではありませんので、ご利用になる場合でも一手段としてお考えになることをおすすめします。
クレジットカードに備わっているサービスで、海外で現地通貨を調達する手段の一つです。現地のATMや金融機関の窓口で利用することが可能。ATMで利用する際は、クレジットカードと暗証番号が、窓口で利用する場合は、クレジットカードとパスポートが必要になります。
海外キャッシングの魅力を四つ紹介します。
海外キャッシングに使えるATMは沢山あります。VISAブランドのクレジットカードなら『VISA』か『PLUS』、MastercardやJCBブランドのクレジットカードであれば、『Cirrus』、あるいは『Mastercard』か『JCB』マークの入ったATMであれば国に関係なく利用することができます。いずれも世界中に100万台以上あります。
外貨を引き出せる場所が多いということは、緊急性を要する際の大きな強みになります。
海外キャッシングの一番のマイナスポイントは金利です。しかし、金利は返済日までの日割りで計算されため、繰り上げ返済すれば、支払う金利を減らすことが可能です。年率18%の金利負担は1日当たり約0.05%(1年365日の場合)。返済までに10日間要した場合の金利は約0.5%にしかなりません。
銀行で両替した場合はどうでしょう。TTMと呼ばれるその日の基準レートに手数料分を上乗せしたレートで両替が行われます。2015年11月6日の三菱UFJ銀行を例に見てみましょう。円から米ドルに両替する場合です。
TTM | CASH Selling | 手数料 |
---|---|---|
121.73円 | 124.53円 | 2.8円 |
基準レート(TTM)に対して、手数料2.8円が上乗せされるので、手数料率は、約2.3%。CASH Sellingというのは、現金で外貨を売る(お客側は買う)場合のレートを言います。500ドル両替した場合の手数料は1,400円になります。
一方、海外キャッシングを利用した場合の金利は1日当たり約0.05%(年利18%/1年365日の場合)。返済までの期間が長くなれば、支払う金利手数料も多くなりますが、早く返せば、金利負担を大きく減らせます。
例えば、借入金を500ドル、借入翌日から20日後に返済したとします。為替レートは先の例で使用したTTMレートを拝借します。この場合の金利手数料は600円。ちなみに、借入翌日から47日後に返済すると金利手数料が1,411円となり、先の例で見た銀行で両替した場合の為替手数料を上回ります。
なお、海外キャッシングの繰り上げ返済をする場合には、振込手数料やATM手数料などの手数料が掛かる場合があること、借りる際にもATM手数料が掛かる場合があるなど金利以外の手数料が掛かる場合がある点にお気をつけ下さい。※借入時、返済時の手数料の取扱いはカード会社毎に異なります。
外貨への両替をする場合、米ドルなどのメジャーな通貨と比べて、マイナーな通貨になるほど為替手数料が高くなる傾向にあります。米ドルと豪ドルを三菱UFJ銀行で両替した場合(2015年11月6日)で見てみましょう。手数料率に注目して下さい。
通貨 | TTM | CASH Selling | 手数料 | 手数料率 |
---|---|---|---|---|
米ドル | 121.73円 | 124.53円 | 2.8円 | 2.3% |
豪ドル | 87.01円 | 96.71円 | 9.7円 | 11.1% |
米ドルに対して豪ドルの手数料率が高いのは一目瞭然です。というように、銀行の為替手数料は通貨によって異なる上に、マイナー通貨になるほど手数料が高くなる傾向にあります。
一方、海外キャッシングの金利は、カード毎に異なるものの、通貨によって変わることはありませんし、日割りなので繰り上げ返済によるメリットも受けられます。年利18%という高い金利で海外キャッシングをした場合でも、繰り上げ返済を利用して10日間で返済すれば約0.5%にしかなりませんし、30日間で返済した場合でも約1.5%にしかなりません。
というように、通貨に関係なく金利が同じというのは、海外キャッシングの大きなアドバンテージのひとつになるでしょう。
多くのATMは24時間・年中無休で稼動していますので、急に必要になった時にも簡単に現地通貨を引き出せます。※夜間は場所によっては危険を伴うこともありますので、ご利用は慎重に。
海外キャッシングを利用する際の二つの手数料について見ていきましょう。
借入金額に対して金利が掛かります。カード毎に異なりますが、多くは年率18.0%となっています。決して低い金利とは言えませんが、返済するまでの日割り計算で金利手数料が算出されますので、必ずしも、他の両替方法などと比べて手数料負担が飛びぬけて高いということにはなりませんし、使い方によっては、他より有利な場合もあります。
ATM手数料は、現地通貨を引き出す際に掛かる手数料で、1万円以下で税込110円、1万円超の場合で税込220円が一般的。ただし、手数料が掛からないカード会社もあるため、カード選びの際にはご注意を。
また、上記で述べたカード会社が徴収するATM手数料とは別に、ATMを設置している現地金融機関が徴収する手数料(オーナーチャージ)が掛かる場合もありますのでご注意下さい。手数料の有無や額は金融機関により異なるため、キャッシングの都度確認するようにして下さい。
出発前に確認しておきたいことをまとめました。
使用予定のクレジットカードに海外キャッシング枠が設定されているか、設定されている場合は限度額はいくらかを事前に確認し、設定されてない場合は窓口やWebサービスなどから枠の設定(限度額を増やしたい場合は増額)をご依頼下さい。審査に時間が掛かる場合もありますので、数週間から1ヶ月程度の余裕は必要です。
なお、アメックスやビューカードのように海外キャッシングサービスを行っていないカード会社もありますのでご注意下さい。ビューカードの場合は、2009年4月以降に発行されたカードに関しては、キャッシングサービスを提供しておりません。
ATMで海外キャッシングを利用する際には、クレジットカードと暗証番号が必要になりますので、お忘れの方は事前に確認を。通常、暗証番号は郵便でのお知らせになりますので、多少の余裕が必要です。
カード会社が請求する金利手数料とATM手数料(借入時)の有無を確認して下さい。ATM手数料は利用の都度掛かるものですので、無料のものがおすすめです。
一括払いが一般的ですが、リボ払いのカードもあります。また、一括払いのカードのうち、リボ払いへの変更が可能なものとそうでないものとがあります。リボ払いのカードは、返済期間が延びて金利手数料の支払いがかさむ可能性がありますので、繰上げ返済をおすすめします。
増額返済や一括返済などキャッシング利用分の繰り上げ返済サービスは、大概のカード会社で提供していますが、返済方法の選択肢の豊富さや、手数料が掛からない返済方法の有無などはカード会社によってかなり違いがあります。
特に、手数料無料で使えるATMの有無やペイジー(Pay-easy)を利用したネット返済(手数料無料)があるかないかをご確認下さい。振込の場合の振込手数料は会員負担が一般的です。※住信SBIネット銀行だと月3回まで振込手数料が無料になります。
慣れれば簡単ですが、現地で落ち着いてキャッシングするためにも、あらかじめATMの操作方法を確認しておくことをおすすめします。操作方法は、カード会社の海外キャッシング関連ページに掲載されています。
ご存知のとおり、日本と比べて海外は治安がよくありません。夜や治安が悪そうな場所にあるATMでのキャッシングはおすすめしません。また、後ろに人がいる時は特に注意して下さい。
海外ATMでは1回当たり、1日当たりの引出し制限がありますので、海外キャッシング用のクレジットカードは、予備を含めて二枚は用意しておくことをおすすめします。
ご利用の際、ATM設置会社によるATM手数料(オーナーチャージ)が請求される場合は、お得度が低下しますのでご注意下さい。
海外キャッシングに適したクレジットカードを選ぶ際は、次の点に注目されることをおすすめします。
手数料節約に適した学生向けおすすめカードを紹介します。
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