三井住友カードは、世界最高クラスのセキュリティを有するロック機能付きクレジットカード(以下、新型カードと言います)を2018年中に発行すると1月9日付けのニュースリリースで発表しました。
新型カードには、従来のクレジットカードにはない液晶画面やパスワードを入力するタッチ式のボタンなどが搭載されており、カード利用前に電源をONにした上でパスワードを入力すると、液晶画面にカード番号が表示されると同時に磁気ストライプとICチップが有効になり、店頭あるいはインターネットで利用できるようになるとのこと。
使用後は自分で電源をOFFにするか、放っておいても8分経過すれば自動的に電源が切れ、液晶に表示されているカード番号が消えると同時に磁気ストライプとICチップの機能が停止され、カード利用ができなくなるそうです。パスワードはカード到着後、4桁から8桁の範囲で自身で簡単に登録できるとのことです。
三井住友カードのリリースによると、冒頭でも触れましたが、最高クラスのセキュリティというくらいですから相当なセキュリティの高さだということがうかがえますが、具体的なケースで見た場合どうなのか考えてみました。
盗難カードや拾得したカードを従来型の磁気ストライプ端末で決済するようなケースでの不正使用はかなり難しくなることが容易に想像できます。なぜなら、磁気ストライプ端末で決済する場合、オーソリ通過後にサインするだけでカード決済ができるため、盗難カードや拾ったカードを比較的容易に店頭で使用できますが、新型カードの場合、正しいパスワードを入力しない限り磁気ストライプが有効にならないというのですから、不正使用のハードルは相当高くなると思われます。同性の家族のクレジットカードを店頭で勝手に使用するということも難しくなるでしょう。
ICカードをIC対応端末で決済する場合、暗証番号の入力が必要なため、現状でも十分なセキュリティ性を発揮しておりましたが、新型カードの場合はカード使用前にパスワードでロックを解除する必要があるため、従来にも増して不正使用は難しくなるはずです。
ネット決済の場合、カード情報さえ分かってしまえば、カードそのものが手元になくても決済することができることが多いため、フィッシング詐欺などでカード情報を入手されると不正使用が可能になりますが、新型カードでは、ロック解除しないとネットでも使えないため、不正使用は難しくなるはずです。
また、盗難や拾得などの形でカード現物を入手されたとしても、ロックを解除できない限りカードが有効にならないうえに、そもそもカード番号すら分かりませんのでネット決済しようにもやりようがありません。
つまり、磁気決済、IC決済、ネット決済とほとんどのケースで不正使用を防げるということになりそうですし、一定の成果は得られるのではないかと思います。
情報が不足しているため、いくつかの疑問点が残ります。おいおい解決すると思いますが、とりあえずあげておこうと思います。
電気料金やガス料金のように、毎月継続的に決済が発生するようなケースの場合、一度カード払いの手続きをすると、自動的に決済が行われるため、決済の都度、利用者側でロック解除を行うことはできません。もっとも、このようなケースでは、ロック解除がなくても決済は行われるのでしょうが、どのような仕組みでそうなっているのか疑問が残ります。
パスワードにより新型カードのロックを解除するとネットで使えるようになると言いますが、そもそもネット決済ではカードそのものは必要なく、会員番号などのカード情報さえあれば決済できるわけで、ロック解除で磁気ストライプやICチップが有効になることとネット決済で利用可能になるということのつながりがイマイチ理解に苦しみます。
セキュリティが向上することで利用者が増え、業界が盛り上がれば、クレジットカード関連サイトを運営しているサイト管理人としては嬉しい限りです。
ただ、個人的にロック機能の付いた新型カードが発行された際に作るかどうかは今のところ分かりません。利用の際にいちいちパスワードを入力しなければならないとなると、セキュリティのためとは言え、ひと手間増えるわけですし、面倒だなぁと思ってしまいます。
もっとも、これは個人的な感想です。より高いセキュリティを求める方にとっては、ピッタリのカードになるはずです。学生の中には初めてクレジットカードを作るという人が大勢いると思いますが、中には、セキュリティ面で不安をお持ちの方も少なくないでしょう。そんな方は、今回紹介したロック機能付きの新型カード(発行開始は2018年中を予定)を検討してみてはいかがでしょう?
第三者による不正使用対策は業界にとっての長年のテーマ。これを機に不正使用が完全に撲滅されるわけではないと思いますが、一定の成果がもたらされることは間違いないでしょう。一利用者として期待したいと思います。
最終更新日:2018年1月20日